ウーツー(CDレビューア)

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期待したほどではなかったが、BGM用として聴けそう「ハイドン交響曲全集/デニス・ラッセル・デイヴィス指揮シュツットガルト室内オーケストラ」

 カナダ・オハイオ州生まれの指揮者「デニス・ラッセル・デイヴィス」が、ドイツのシュツットガルト室内オーケストラ(SCO)に、主席指揮者だった1995年から2005年までの11年間をかけ、「メルセデス・ベンツ・ハイドン・レコーディング・プロジェクト」と題して、ハイドン・イヤーを記念し、「ソニー・クラシカル(独)」より37枚組みの廉価盤のCD-BOXとして発売した。

 一枚だけは既に発売されていたが、残りの36枚分は全て初出という異例の企画である。このBOXは、既に今年発売済のハイドン交響曲全集である、ドラティ盤(デッカ)、アダム・フィッシャー盤(ブリリアント・クラシック)より最新のライブ録音だ。「ハイドン・イズ・ファン」(ハイドンは楽しい)と題されたコンサート・シリーズの模様を収めている。

 ・・・

 60ページのブックレット(英・独)には、参加した演奏者の一覧が楽器ごとに5ページにわたって記載されているが、CDを聞く限り、大勢で演奏しているとは思えない。20名のSCOの弦楽器奏者の集合写真が載っているところを観ると、管楽器奏者、ティンパニ、チェンバロを入れて30名ほどの編成と思われる。

 ハイドンの交響曲は初期においては、小規模の編成であったが、パリ交響曲あたりから大編成に変わっていったことを考えると、SCOの編成は当時の編成を忠実に再現したものではなさそうで、あくまで室内オーケストラによるハイドンの交響曲の演奏を意図しているようだ。

 使用楽器は古楽器ではなく、現在の楽器を使用している。管楽器に古楽器を使用しているとの代理店の説明があったが、ブックレットには特にその旨の記載はなく、CDを聴いていても、古楽器の管楽器特有のひなびた感じの音色は感じられない。

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 この全集に収録された曲数は107曲となっている。このBOXは全体を「初期の交響曲」(4CD)、「エステルハージ公のために書かれた最初の交響曲」(7CD)、「疾風怒濤期の作品」(6CD)、「娯楽目的の交響曲」(6CD)、「ロンドン交響曲」(6CD)の時代ごとの5つに分け、その種類ごとに紙ジャケットを色分けしている。ブックレットの解説も各時代ごとに2ページを割いて解説している。

 また、普通なら横に重ねてBOXに収納するところを、ジャケットを立てた状態で重ねることで、簡単に目的のCDが取りやすいように工夫されている。廉価盤らしくない心にくいつくりだ。

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 演奏に関していえば、まだ10枚も聴いていないのではっきりとはいえないが、これまで聴いた感想では、気合の入った感動的なスタイルではなくて、すがすがしい颯爽と、ぐんぐん進んでいく感じ。

 また、ライブ録音とあってか、録音はあまりいいとはいえず、特に高音がこもるのでアナログ録音に近い感じだ。ダイナミックレンジが狭く感じるせいか、音量の差はあまりないので、颯爽とした感じと合わせると、気楽に気持ちよく聴こえる。本格的に演奏に耳を傾ける熱心なクラシックファン用というより、手軽にハイドンの交響曲を全て楽しみたいひと向きだ。なんとなくかけておくBGM用としても使えそう。気合を入れて楽しみたいひとは肩透かしを食らうかもしれない。

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 現代音楽のCDを多数残した指揮者が挑んだ古典派のハイドンとあって、強烈な個性を期待したのだが、意外に平凡でいかにも廉価盤といった感じで、個人的には5千円を使って優先的に購入するほどのものではなかったという感じ。

 それでも、ながらでかけておく分には十分用を足すので、まあいいかなと思う。
Joseph Haydn: The Complete SymphoniesJoseph Haydn: The Complete Symphonies
(2009/10/05)
Dennis Russell Davies

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ハイドンの最後の交響曲での管楽器の打楽器的奏法やティンパニの強奏が意味するもの

おれんじぱぱ

 ヒュー・ウルフ指揮フランクフルト放送響が、ドイツのホルトゥス・ムジーク(hr-musik)に2001年から2002年に録音したハイドンの最後の交響曲、いわゆる12曲の「ロンドン交響曲」のうち第92番ト長調《オックスフォード》(1789年作)、第96番二長調《奇跡》(1791年作)、第97番ハ長調(1792年作)の3曲を何度も繰り返し聴いていたら、それぞれの曲の第一楽章の激しいところ(主にアレグロ)や、アンダンテなどの落ちついた第二楽章の後のメヌエットの指定の第三楽章、フィナーレの第四楽章で、ホルンを中心とする管楽器群が「フォンッ、フォンッ、フォンッ」と強く吹く打楽器的な演奏や、ティンパニが「ダンッ・ダン・ダンッ」と激しく鳴らす演奏が、共通して強く印象に残った。

 それで、このコンビが録音しているもう一枚のハイドンのCD、いわゆるパリ交響曲(1785~1786年作)の後の第88番ト長調(1787年作)、第89番ヘ長調(1787年作)、第91番嬰ヘ長調(1788年作)の3曲が入っているCDを聴いてみたら、管楽器群の打楽器的演奏は控えめで、ティンパニを激しく打ち鳴らす演奏はなかった。

 つまり、ハイドンの1788年までの交響曲と1789年からの交響曲の間には、管楽器の打楽器的奏法やティンパニによる強弱の強調において明確な違いがみられるのである。それでは、ハイドンがその間に受けた影響はなんだったのだろうか?


 実は、モーツァルトの3大交響曲、すなわち第39番へ長調、第40番ト短調、第41番ハ長調《ジュピター》(いずれも1788年作)を聴いたか、楽譜を入手してハイドンが受けた影響が大きいと思えるのだ。

 なぜかというと、例えばモーツァルトの最後の交響曲《ジュピター》で、管楽器群の打楽器的演奏やティンパニを激しく打ち鳴らす演奏
が大きく使われているからだ。

 おそらくハイドンは、交響曲の完成とみられた「パリ交響曲」の後に、
モーツァルトの強烈な3つの交響曲に触発されて、新たにその手法を取り入れて「ロンドン交響曲」を作ってみたくなったに違いない。


 ハイドンの弦楽四重奏に影響を受け、モーツァルトはハイドンに「ハイドンセット」を献呈した。そしてハイドン自身もモーツァルトのことを天才作曲家として認めていた。

 ハイドンの残した最後の12のロンドン交響曲もまたモーツァルトに対する賛辞をかたちであらわしたものだったのだろう。

Haydn: Symphony No. 92, 96, 97/ Hugh Wolff

Haydn: Symphony No. 88; No. 89; No. 91/ Hugh Wolff









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