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税と社会保険料負担の一体化による税制改革で課税の公平化と税収アップ、非課税低所得者勤労世帯に税還付で景気底上げ効果も「税還付策こそ『生活対策』財政政策を問う(中)田近栄治」

 日経紙上に掲載された経済教室のなかで、二人の学者(谷内教授、井堀教授)は国がとるべき財政政策について次の注文を出した

①財政出動による景気刺激策は、効果にとぼしい。
②中長期的視野にたった構造改革が必要。
③法人税減税によって民間企業の活力を高める。
④弱者や非正規雇用者に対する安全網(セーフティーネット)の整備

 さらに井堀教授は、⑤消費税増税による財政再建を図る必要があると指摘した。

 ・・・

 消費税増税の考えに対し、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(4/2付け)のなかで、志位委員長は新宿駅頭での街頭演説で

⑥所得の少ない方ほど重くのしかかる税金
⑦税のすべてを販売価格に転嫁することができる大企業を優遇する税金
⑧景気をどん底にまで突き落とす最悪の「景気破壊税」

として、強く異議を唱えた。

 ・・・

 ぼくは輸出企業を例にあげた②については、根拠がおかしいと指摘したが、①財政出動による景気刺激策は、効果にとぼしいので、②中長期的視野にたった構造改革が必要で、③法人税減税によって民間企業の活力を高めて、④弱者や非正規雇用者に対する安全網(セーフティーネット)の整備を図る必要性を認めて、⑤消費税増税による財政再建を図る必要については、⑥所得の少ない方ほど重くのしかかる税金であり、⑧景気をどん底にまで突き落とす最悪の「景気破壊税」なので、消費税増税だけでなく他の税、すなわち、所得税や消費税といった間接税、国民健康保険税や介護保険税、国民年金保険税といった社会保障税を別個にパッチ的に充てるのでなく、それぞれの税負担者の生活の実情にあった納税の抜本的改革が必要だと考えた。

 この記事では、そうした納税の抜本的改革を提唱している
「田近栄治・一橋大学教授」が日経の経済教室「税還付策こそ『生活対策』財政政策を問う(中)」(3/26)29面に寄せた寄稿を通じて納税の抜本的改革を考えてみた。以下は記事とぼくの感想(緑字)である。

 ・・・

 世界を巻き込んだ不況が進行する中、日本でも積極的な財政出動が開始されようとしている。目玉の一つが「生活対策」(昨年十月三十日)に盛り込まれた定額給付金制度であり、政府は経済的な弱者に大きな影響が及ぶとして、約二兆円の予算を投じ、一人当たり一万二千円(六十五歳以上と十八歳以下は二万円)という手厚い支援を行うこととしている。

 しかし、定額給付金については、今年一月十五日の財政制度等審議会で、「緊急支援と言えるか、全く言えない。(中略)ほとんど捨てられる、まあ、貯蓄に回るんでしょうが、眠ってしまうような金」ではないかいう意見など、手厳しい発言が相次いだ。

 国民の負担に対して配慮し、消費増加を通じた景気効累も期待できる生活対策」とは何なのか。財政出動にのみ頼るのではなく、少子高齢化の現実も見定めつつ、真に効果のある政策を考える必要がある。そこで以下で、税額控除(税による還付)の導入と再配分機能を十分果たしていない所得控除の縮小によって、税と社会保険料負担を一体的に調整する仕組みを提言したい。

 まず、田近教授は昨年10月30日に「生活対策」に盛り込まれた定額給付金制度が、今年1月15日の財政制度等審議会で、「緊急支援と全く言えない。ほとんど捨てられる。眠ってしまうような金」といった厳しく非難されたことを紹介し、国民の負担に対して配慮し、消費増加を通じた景気効累も期待できる生活対策」として、税額控除(税による還付)の導入と再配分機能を十分果たしていない所得控除の縮小によって、税と社会保険料負担を一体的に調整する仕組みが必要という。

わりとむつかしい

 まず税(所得税と住民税と社会保険料を合わせた負担の実態を見てみよう。筆者は八塩裕之氏(京都産業大学専任講師)とわが国の家計の最も基本的な調査の一つ、『国民生活基礎調査』を用いて負担推計を行ってきた。結果は表に示した通りであるが、推計にあたり二〇〇四年の調査を用い、税負担については調査表の世帯属性に基づいて、○七年の税制による世帯別負担額を求めた。一方、社会保険料については、調査表の記載額を直接用いた。世帯は所得で十階層に分け、所得の半分以上が給与や事業所得か年金収入であるかで勤労世帯と年金世帯と呼ぶごとにした。

 「税と社会保険料の負担」の表は、『国民生活基礎調査』(2004年)をもとに、表中の税負担Aの項目については『国民生活基礎調査』(2004年)の世帯属性に基づきながら、2007年度の税制を用いて、世帯別負担額を計算している。社会保険料Bの項目については、『国民生活基礎調査』(2004年)の記載額を直接用いている。だから、2004年度の調査に基づきながら所得税や間接税などはより直近の2007年の計算方法で算出しているわけだ。

 世帯は所得で十階層に分けられているが、実際の所得額が書かれていないし、5と6の間が平均なのかはここではわからない。所得の半分以上が給与や事業所得か年金収入であるかで勤労世帯と年金世帯に分けているが、半分で分けるのが適正であるかはわからない。

 この表はおおまかな目安として観るべきだろう。


 表から負担の実態として次の三点を指摘することができる。第一点は、表中の課税所得比率(課税前所得に対する控除後の課税所得の比率)から明らかなように、所得控除の割合が大きい結果、課税所得のベースが小さくなり、低中所得者の税負担が大幅に低くなっていることてある。

 表中の所得階層4から下の階層では、勤労世帯と年金世帯のそれぞれで、所得のうち課税対象となる所得の割合が、それぞれ15.5%、11.3%以下とかなり低い。これは所得控除が働いて課税所得を大幅に減額しているからだ。

 勤労世帯の場合、中位の第五および第六階層で、課税所得比率は二五%程度であり、最高所得層でも五七・六%である。年金世帯ではこの比率はさらに低くなっている。なお同額の所得控除でも、高所得世帯の方が、適用される税率が高く、税負担がより多く軽減されるため、所得控除は階層別負担調整の視点からも望ましくない。このように所得控除の存在が所得税の「空洞化」を招いている。

 勤労世帯(勤労所得が5割以上の世帯)の場合、中位の層である中間層の所得であっても、実際の所得に対して課税される所得の比率が25%ととゆうのは、75%の所得には非課税とゆうことだから、確かに低い感じはする。最高所得層でも所得の42.4%は非課税だ。更に所得控除が定額の場合、高所得層のほうが税負担の割合は軽くなる。

 日本共産党の志井委員長が4/1に新宿駅の街頭で演説した「税金というのは、所得の少ない方には少なく、そして所得の多い方にはたくさん払っていただくのは当たり前の民主的な原則」とすれば、高所得層のほうが税負担の割合は軽くなるのは望ましいことではない。


 第二点は、税と社会保険料を一体で見ると、ほとんどの世帯で、社会保険料の負担が税負担より大きいことである。勤労世帯では、もっとも所得の高い第十階層を除くすべての階層で、税よりも社会保険料負担の方が大きい。毎月の給与明細をみて「税が重い」という多くのサラリーマンの実感は、社会保険料負担が重いことによっている。それに対して、年金世帯では、保険料負担は勤労世帯よりずっと軽くなっている。

 表中の税負担Aと社会保険負担Bを観ると、勤労世帯では第8段階の所得階層まで社会保険負担Bの割合が税負担Aの割合よりかなり高く、最も低所得な階層で19.8%(第一階層)で最も重く、中位の所得階層である第6階層でも10.0%あり、税負担Aの4.3%の倍以上もある。

 年金世帯では、勤労世帯に比べて社会保険料Bの割合が、19.8%→12.3%(第一階層)、10.0%→6.2%(第6階層)、8.1%→4.8%(第10階層)となり、いずれの場合においても社会保険料の税負担の割合が軽くなっている。


 第三点は、年金世帯の税と社会保険料負担は、勤労世帯よりはるかに低いことてある。表の所得階層は、全世帯を対象としたもので、勤労世帯と年金世帯には同一の所得区分が適用されている。しかし、所得税と住民税の負担率をみると、すべての階層で年金世帯の負担が小さくなっていることがわかる。

 これは、主に公的年金等控除で年金所得への課税が軽減されていることによる。社会保険料負担は、公的年金保険料負担のない年金世帯の方が、勤労所得世帯より小さいことは当然としても、ほぼ二倍近い負担の差があることは、注目すべきであろう。

 表中の年金世帯の所得税と住民税の負担率(税負担A)は勤労世帯のそれと比べると確かに低い。この理由は公的年金等控除で年金所得への課税が軽減されていることによる、という。

 表中の社会保険料Bに関して、勤労世帯と年金世帯を比較すると、19.8%→12.3%(第1階層)、10.0%→6.2%(第5階層)、8.1%→4.8%(第10階層)で、勤労世帯の方が同じ所得でも確かに負担率が高い。


・・・

 このように、負担に大きな「ゆがみ」が生じていることは、明らかである。現在の経済状況からの脱却という観点からは、その是正を行うとともに、消費増加を通じて景気対策にも有効な施策が求められていることになる。ここで重要なのは、所得が低く社会保険料の負担が特に重くなっている人々の負担を軽減して消費を刺激することだろう。このグループの人たちが、定期的な所得を得ていない人たちであればなおさらである。

 確かに今まで指摘していた税負担の不公平を改めれば、これまで税負担が重かった勤労世帯の税を軽減することで、消費に回すことができ景気を刺激することができる。

 そこで、所得控除に代えて税額控除を導入し、こうしたグループの人々の税と社会保険料負担の合計額が軽減される制度を創設すべきである。

 現行の大きな所得控除は、先に指摘したとおり、全般的な税負担を軽減する一方、階層別に見ると高所得者に有利に働いている。つまりさまざまな所得控除は、減収という大きなコストを払う一方で、肝心の再分配効果はあまり働いていない。そこで、現行の所得控除に代わる再配分機能を果たす仕組みが求められることになる。

 所得控除を縮小することによって、所得税と住民税の「課税力」を取り戻すことが可能になる。そうしたしっかりと税をとる仕組みにした上で、適切な負担調整を行うことが重要である。

 確かに所得控除は表中の同一所得階層の勤労世帯と年金世帯に異なる課税所得比率を適用し、年金世帯に有利に働いてしまう。

 また税と社会保険料の負担率(表中のA+B)で、最も低所得な所得階層1と最も富裕な所得階層10との比較において、勤労世帯で20.1%に対し22.0%、年金世帯で12.3%に対し13.8%と大差ない。これでは富裕層優遇の税方式だ。

 確かにさまざまな所得控除はより高い所得階層にかかる税の減収となり、同一所得でも年金世帯に有利に働くなど所得の再分配のためにじゅうぶんに機能していないようにみえる。所得控除や現状の社会保険制度にかわる「税と社会保険料負担の合計額が軽減される制度」を創設して不公平間をなくす必要はあるかもしれない。


 一方で、納税者の側に立って考えると、負担という面で税と社会保険料に差はない。

 これまで日本では、税は国や地方の財源、社会保険料は社会保障の財源であるとし、税と社会保険料の負担と管理は別々であるべきだとされてきた。だが、これは縦割りの役所の考え方にすぎない。

 実際、医療、年金および介護保険の保険料は積み立てられているわけではなく、現役世代から、給付を受ける高齢世代への移転となっているので、税と変わらない。そこで、税と社会保険料負担の一体改革という視点が重要になる。すなわち、税額控除の導入にあたって軽減されるのは、税部分だけではなく、社会保険料負担まで含める必要がある。

 確かに納税者の側からみれば、社会保険料も所得税や住民税と同じたぐいのものであり、医療行為に際して受けられる給付が変われば、社会保険料が変わるとゆうものではない。

 そうゆう点からいえば、税と社会保険料負担を一体化しても特に問題ではない。役所の都合で不公平が生じるならば、役所の組織ややり方を見直せばいいだけの問題だ。


 さらに、年金世帯の扱いも検討すべきであろう。高齢化が進行する中で、高齢者への社会保障給付が増大する。それを支える財源は、先に指摘したように積立金ではなく、同時代における税と社会保険料である。そうした中で、年金所得であるということだけで、特別な配慮を行うことは適切ではない。もちろん、ここで年金所得を重課せよというのではない。見直すべきことは、年金所得を、給与所得やその他の所得と同じように扱うべきだということだ。

 社会保険料が勤労世帯に対して年金世帯のほうが有利に働いているのを考えれば、年金所得を、給与所得やその他の所得と同じように扱うべき、とゆうのは理解できる。

 しかしながら、勤労者と異なり、高齢者は高齢化に伴う介護・医療行為などの費用がかさむので、所得に占める医療費が大きくなりそれ以外の生計費が圧迫される。

 だから、じゅうぶんな生計費を確保できるような医療・介護の負担限度額を定めたしくみをセットにしなければいけないと思う。


 以上の改革は、社会保障財源や景気などマクロ経済面で次の効果を持つと考えられる。まず、改革によって、集まった税で社会保険料負担の一部が肩代わりされることになるので、社会保障財源に穴があくようなことはない。むしろ、税と社会保険料の一体的な負担調整をするので、非課税の人も還付をうけるため、税の申告が進むと思われる。また、この改革によって、所得は相対的に、若年で所得の低く、消費意欲も旺盛な個人や家族に再配分されることになるので、消費促進が期待できる。

 ・・・

 税と社会保険料負担の一体化については、オランダなどすでに実際の制度として施行している国があるだけではなく、税制の抜本改革として多くの国で真剣に検討がなされている。世界に先駆けて少子高齢化が進むわが国においても、ここでみてきたように、税と社会保険料は別物とした考え方や制度はもはや通用しなくなっていることは、明らかである。この改革の行きつく先の一つは、組織的には、徴税機構である国税庁と社会保険料徴収機構である社会保険庁の一体化である。そこまでを視野に入れた改革の道筋を本気で議論する時がきたのではないだろうか。

 税と社会保険料負担の一体化によって、集まった税で社会保険料負担の一部が肩代わりされ、社会保障財源に穴があかなくなるかは詳しく検証してみる余地があるが、少なくとも表においては、かなり税収増の可能性はありそうだ。 

 非課税の人が税の還付をうけることができれば、所得の再分配が進み貧困が改善される。


 「この改革によって、所得は相対的に、若年で所得の低く、消費意欲も旺盛な個人や家族に再配分されることになるので、消費促進が期待できる」ことになればとくに財政出動をうたなくても、それだけで景気対策になる。

 しかし、このためには、徴税機構である国税庁と社会保険料徴収機構である社会保険庁の一体化が必要となると、役人の強固な抵抗が予想される。

 詳細を詰めれば景気をよくし貧困を改善するすてきな改革案だと思うのだが、役人のいいなりといわれる今の内閣で検討の余地はないだろう。


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 たぢか・えいじ 49年生まれ。一橋大卒、ミネソタ大博士。専門は財政学









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テーマ:追加経済対策で景気は回復する? - ジャンル:政治・経済

低所得化が進む弱者に重い増税だけでは税制の抜本的解決にならないばかりか国民の生活を破壊する「日本共産党の志井委員長の消費税増税反対演説(4/1)」に対する感想

いろんなひとがいぱいいます
「消費税の増税やめよ」などと宣伝する消費税廃止各界連絡会の人たち。
宣伝力-中央は、訴える志位和夫委員長=1日、東京・新宿駅西□
しんぶん赤旗(4/2)1面より

 日経紙上に掲載された経済教室の内容に沿いながら、二人の学者による現在の不況下におけるとるべき財政政策をとりあげてきた。

 それによれば、
①財政出動による景気刺激策は、効果にとぼしい。
②中長期的視野にたった構造改革が必要。
③法人税減税によって民間企業の活力を高める。
④弱者や非正規雇用者に対する安全網(セーフティーネット)の整備

 更には、消費税増税による財政再建を図る必要があるとのことだった。

 しかしながら、日本共産党の指摘では、このうち法人税はすでに十分に減税されており、その法人税の穴埋めのために、本来社会福祉目的のための消費税が使われてしまって、弱者や非正規雇用者に対する安全網(セーフティーネット)のために十分に使われず、その税の性格上、弱者の負担割合が多きくなるとゆうことだった。


 ・・・

 4月1日(水)に新宿駅で、消費税廃止各界連絡会の街頭演説の際に行われた日本共産党の志井委員長の演説の内容をみながら、日本共産党の指摘について考えてみることにした。緑字は筆者の感想。

新宿駅頭での志位委員長の訴え

 みなさん、こんにちは。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫です。今日は労働団体、市民団体のみなさんとご一緒に、この場をお借りして、消費税値上げ反対、食料品は非課税に、ということを求める署名運動、宣伝活動に取り組んでいます。ご協力を心からお願いいたします。

 今日、四月一日は、消費税が導入されて、ちょうど二十年にあたります。この二十年間を振り返って、消費税問題について、私たちが考えていることをお訴えさせていただきます。

 まず、志位氏は今年の4月1日が消費税が導入されて、ちょうど二十年にあたることを告げた。

 次に消費税値上げは反対、食料品は非課税にしたいと告げた。


なんでこうなるの!
 しんぶん赤旗日曜版4月5日号より

「社会保障のため」という言い訳はうそ偽り

 まず、私が訴えたいのは、消費税が導入され、値上げされるときにさんざん言われた「社会保障のため」という言い訳は、うそ偽りだったということがはっきりしたのが、この二十年だったということです。この二十年間を振り返って、「良くなった」といえる福祉があるでしょうか。

 たとえば、医療の問題です。消費税導入前には、サラリーマンの医療費の窓口負担は一割でしたが、いまは三割に上がっています。
お年寄りの窓口負担は、導入前は通院で月八百円でしたけれども、これも一割-三割になり、後期高齢者医療制度という「現代のうば捨て山」といわれる制度がつくられました。

 年金はどうでしょう。支給開始年齢が六十歳から六十五歳に引き上げられました。さらに、毎年、年金の保険料は上がる、給付は下がるという、とんでもない年金の大改悪が強行されました。

 介護はどうでしょう。この間に介護保険がつくられましたけれど、先日、群馬県の渋川では、ああいう痛ましい事件が起こりました。根本にはまともな施設が不足しているという大問題があります。特別養護老人ホームの入所を待っていらっしゃる待機者は、導入前の二万人から、いまは全国で三十八万人にも達しています。

 障害者福祉も、利用料は原則無料であったのが、一割という応益負担が持ち込まれて、障害が重い方ほど重い負担になるという、ひどい仕掛けがつくられました。

 医療、年金、介護、障害者福祉、どの分野をとっても、社会保障切り捨ての二十年だったというのが、この間の事実ではないでしょうか。

 確かに消費税は福祉目的税として20年前に創設されたものだけど、高齢化による医療・福祉・年金は総額として増大していったのであるから、消費税を全額福祉に回したとしても、これらの負担が20年前と同じ水準で維持できたかどうかは、詳しい検証が必要に思える。

おかねかえして
 しんぶん赤旗日曜版4月5日号より

 それでは、国民が納めた消費税は、いったいどこへいってしまったのか。この二十年間で国民が納めた消費税の総額は二百十三兆円ですが、その間、大企業などへの減税が行われ、法人三税は総額百八十二兆円も減りました。大企業の減税の穴埋めのために、消費税が使われたというのが、この二十年間の真相だったのであります。

 法人税の減収は昨年までの「だらだらかげろう景気」の際には減収幅が縮小しており、法人税率引き下げでも法人税の総額は伸びたことを反映している。なので法人税率引き下げ=法人税総額減とゆう考えには無理がある。

 輸出主導型の日本経済のもとでは国際競争力は不可欠であって、新自由主義に基づく金融自由化による銀行業の投資への参加によって、幅広く出資を得るために国際的な企業価値を高めないと生き抜けない環境になったことで、企業の負担する税も国際基準に照らし合わせていかなければならなかったのは必然でなかったろうか。

 問題はむしろ、企業が国際競争を生き抜くために、労働組合の解体化を促すことで正社員を減らし、年収300万円以下の非正規雇用者を増大させたことで、福祉の負担に耐えられなくなった労働者が多くなったこと。
 そして、高齢者のセーフティーネットになっている年金の支給額が減少したり、従来かけるべき年金の支払いや老後の貯蓄を怠ったりしていた方が1千万人近くにのぼってしまったことで、生活が窮してしまったのに、政府がろくな対策を打ち出さず、今も放置していることが根本にあるのではないだろうか。


 いま麻生・自公政権が進めようとしている消費税の増税計画も同じです。先週、政府・与党は、二〇一一年度までに、消費税の値上げを行う法律をつくることを「付則」に書き込んだ「税制改革法」を強行しましたが、この法律には、「法人実効税率の引き下げを検討する」ということも書き込まれています。ここでもまた消費税の値上げと大企業減税はセットで打ち出されているのであります。

 みなさん、これまでの二十年間をみても、そしてこれからやろうとしていることをみても、消費税の値上げは「社会保障のため」というのはうそ偽りであって、「大企業の減税の穴埋めのため」というのが真実なのだということを、私は訴えたいと思うのであります。

 与謝野財務・金融相が、今回の追加経済対策の財源に消費税を使おうと考えていることからすれば、消費税はもはや「福祉目的税」のためでなく「一部福祉目的税」であるのは明らかだ。そうゆう観点からいえば、「大企業の減税の穴埋めのため」にも使われるだろう。

 だが、「消費税増税と法人税減税をセットで打ち出している」とゆう言い方は極めて短絡的だ。なぜなら、消費税増税は国民年金の国庫負担の3分の1から2分の1への引き上げの財源として活用されることも検討されているからだ。

 それに、法人税減税によって民間企業の活力を高めることは中長期的視野に立つ観点からいえばプラスにつながると思える。


おかねがないとつらいの
 しんぶん赤旗日曜版4月5日号より

最悪の「貧困促進税」 憲法25条の原則にも反する悪税

 そのことにくわえて、この二十年間を振り返ってみますと、消費税の悪税ぶりがいよいよ耐え難いところまできたということを痛感します。

 私は、この消費税がどんなに悪い税金かということについて、とくに三つの点を、今日は訴えたいと思います。

 第一は、この税金が、最悪の「貧困促進税」だということです。

 税金というのは、所得の少ない方には少なく、そして所得の多い方にはたくさん払っていただく、さらに毎日の生計費には税金をかけないというのが当たり前の民主的な原則であります。所得税は、一定水準以下の収入の人には課税されませんが、それは憲法二五条の精神をふまえ「最低限の生計費に課税しない」という原則にもとづくものです。

 ところが、消費税というのは、所得の少ない方ほど重くのしかかる税金です。所得税を課税されないような所得の少ない方、あるいは所得ゼロの方にまで課税される過酷な税金です。いま貧困と格差が広がり、一大社会問題になるもとで、消費税は、「貧困促進税」「貧困追い打ち税」というべき悪税であることを、言わなければなりません。

 この二十年間で生活保護の世帯は、六十八万世帯から百十四万世
帯へと、一・七倍になりました。しかも、生活保護を受給している世帯というのは、本来、生活保護を受給できる権利を持っている世帯の一割から二割にすぎません。それでも百十四万もの世帯に広がりました。こうした生活保護世帯に対しても、消費税は過酷にのしかかってきます。

 生活保護受給者の年間平均の消費税負担額は、一人あたり三・二万円にもなります。四人家族で年間十三万円です。これは憲法二五条が保障した国民の生存権を否定する悪税というほかないのではないでしょうか。

 「税金は、所得の少ないひとは少なく、そして所得の多い方にはたくさん払う」とゆうのは昔あった所得税の累進課税の考え方だ。だが、「毎日の生計費には税金をかけない」というのは当たり前の民主的な原則ではなく、生計費以外にも余裕をもった収入がある場合には許されるのではないか。

 だが、憲法二五条(生存権)の精神をふまえ「最低限の生計費に課税しない」という原則にのっとって、「所得税は一定水準以下の収入の人には課税されない」とゆう指摘には同感だ。最低限の生計費に課税すれば生きていけなくなるからだ。江戸時代でも、農民に生きていけなくなるほどの年貢を収めされた時代は悪政とされている。

 消費税はホームレスであれ、ニートであれ、生活保護受給者であれ、6万6千円の満額の国民年金で暮らす介護を要する寝たきり老人にも課税する。これは法にのっとってうんぬんとゆうより、むごくないだろうか。

 志位氏の指摘によれば生活保護の世帯は114万世帯で、同様な低基準の生活をしている世帯は5~10倍(507~1,140万世帯)にものぼるとゆう。5百万人~1千万人以上の暮らしに困っているひとから、お金を召し上げる消費税(他の間接税も)はむごいし、あまりにも多くのひとに犠牲をはらわさせているようにしか思えない。

 ちなみに、ぼくは全額消費に回っているので、年額に直すと8万4千円にもなる。これは生活保護費のうち、受けている生計費にあたる生活扶助費の年額・4万8千円よりかなり大きい。いっそのこと生活扶助費の支給をやめて、消費税を非課税にしてくれたほうがありがたいくらいなのだ(ぼくの場合)。


最悪の「大企業優遇税」―大企業は1円も負担していない

 第二にこの税金が、最悪の「大企業優遇税」だということであります。

 消費税を負担していているのは、いったい誰なのか。大企業は、一円も負担もしておりません。原料などの仕入れに消費税はかかりますが、大企業は力がありますから、消費税をすべて販売価格に転嫁することができます。ですから大企業は自分では一円も払っていないのが消費税なのであります。

 輸出の場合はどうなるか。輸出大企業の場合には、輸出品には消費税が上乗せできないという理由で、「輸出戻し税」という仕掛けがあります。つまり、仕入れ時に払った消費税を「輸出戻し税」という形で税務署から還付してもらえるのです。こんな仕掛けまであるのです。いま全国で徴収されている消費税の総額は約十七兆円ですが、そのうち約四兆円は「輸出戻し税」という形で大企業にそっくり返す。そのため税収は十三兆円になってしまう。こういう仕掛けまでつくり、大企業は一円も負担をしていないのが消費税なのであります。

 志位氏は輸出大企業は「輸出戻し税」によって、輸出の際に消費税を支払わなくてもすむので、消費税を一円も負担していないと指摘するが、輸出戻し税とは-はてなキーワード(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CD%A2%BD%D0%CC%E1%A4%B7%C0%C7)によると、「輸出戻し税」は輸出先の国の消費税と輸出元の消費税の二重課税を避けるためにもうけられたものであり、輸出企業は国内で免税であっても輸出先が購入するときに課税されて、(輸出国に)税を支払うことになる。それで、輸出企業が国内で支払った税を還付してもらうしくみであり、消費税を払っていないわけではない。

 それでは誰が負担しているのかといえば、販売価格に転嫁したくてもできないで、身銭を切って泣く泣く消費税を払っている中小零細企業のみなさん、地元商店街のみなさんが負担をしています。そして、転嫁しようのない消費者・国民のみなさんが負拍をしています。中小零細企業や庶民を泣かせ、大企業は一円も負担をしない最悪の不公平税制が、消費税であるということを、私は訴えたいのであります。

 輸出企業が国内の企業から部品や半製品などを買う場合、部品を作る企業は輸出企業への売上分の消費税を負担しなければならないので、部品企業からすれば、消費税が還付されないのはおかしいとゆうわけだ。でも、部品企業は輸出先の国で消費税を払うわけではないので、現状のままでもおかしくないと思うのだが...

 少なくとも、輸出企業の製品に含まれている消費税分は、納品元の部品企業が支払っているが、消費者・国民が負拍をしてるとゆう考えは誤りである。


12年前 最悪の「景気破壊税」の増税で大不況に

 そして第三に、この税金は、最悪の「景気破壊税」です。

 一九九七年のことを思い起こしていただきたい。消費税が3%から5%に値上げになりました。当時は、弱々しいながらも景気が少し良くなりかかっていた時期だったのですが、無理やり消費税を上げたことが、景気をどん底にまで突き落とすことになりました。

 当時の総理大臣は橋本龍太郎さんでしたけれども、私は国会で、いまの経済状況からいって、消費税を上げたら家計は底割れし、必ず景気悪化への暗転が起こる、だからやめなさいということを迫りましたけれども、私たちのいうことに耳を傾けずに、増税を強行したとたんに、日本の経済は大不況に落ち込みました。

 1997年といえば、ぼくが勤めていた会社の製造子会社のリストラによる配置転換がピークをむかえ、労使の合意のもとに技術センターの10年間で毎年1割の人員削減目標が掲げられ、「特別なプロジェクト」があると事業人事部が、職場に不満がある社員や削減目標にのっとって職場の上司が推薦した社員に誘いかけ、なかばだまし討ちをかけるかたちでサービス部門、製造子会社、会社グループ向け派遣会社などに出向させるか、退職勧奨をしていた。

 社員にやめてもらう場合は、希望退職を公けに募るのが普通なのだが、ぼくの勤めていた会社では、移動先で自己都合退職をするものが多かったように思う。ぼくが製造子会社に転籍前提で出向となり、転職先が見つからず、職場でうつ病で倒れたのは2年後だ。

 あのころ「消費税3%のうちに家やマンションを買いましょう」、とちょっとしてブームになったのを覚えている。確かに消費税が2%アップの5%になった後、テレビのニュースで需要の減少が指摘され、消費税増税に対して非難があがっていた。

 2001年(日本は2003年?)にはじけたITバブルがまだ続いていたので、深刻な不景気にはおちいらずにすんだと記憶している。


 いま世界経済危機のもとで、日本経済は深刻な危機におちいり、国民の生活苦はどの分野でもきわめてたいへんな状態です。家計を応援し、内需を活発にしなければならないときに、二〇一一年度までに消費税を増税するという議論を持ち出してくること自体が、まさに景気を悪くする以外のなにものでもありません。

 最悪の「貧困促進税」、「大企業優遇税」、「景気破壊税」、この天下の悪税を、値上げすることを絶対に許すわけにはいきません。

 「大企業優遇税」とはいえないが、弱者に対する安全網の整備なしでは「貧困促進税」であることは違いないし、以前にもまして低所得者が増えた現在では、消費を冷え込ませる「景気破壊税」になる可能性は多いにある。消費者の所得を上げることなくして、消費税増税を単独に踏み切れば、確実に内需の不活発に貢献する。

消費税に頼らなくても、安心できる社会保障の財源はつくれる

 みなさん、消費税に頼らなくても、安心できる社会保障の財源はつくれます。
 年間五兆円にものぼる軍事費にメスを入れようではありませんか。二千八百億円にのぼる米軍への「思いやり」予算は、きっぱりやめさせようではありませんか。アメリカのグアムにつくる米軍基地の建設費用に六千億円もの税金をつぎ込む法案がいまの国会にかかっておりますが、こんなことは絶対に許すわけにいかないではありませんか。

 現在、日本の金融機関や投資家は、米国が金融危機にあるにもかかわらず、米国の債券を大量に保有している債権者だ。だから債券を持ち続けるかわりに、米国に対してもっと日本の負担減を要求してもいいはずだ。債券を持ってあげているだけで、じゅうぶん「思いやり」をしてあげているはずだ。さらにアメリカの軍事費を2800億円も払えとかアメリカの基地建設に6000億円も払えと日本に要求するのはずうずうしいにもほどがある。日本は米国に対してもっと怒らなければいけない。

  そして、大企業と大資産家に、もうけ相応の負担を求めていこうではありませんか。私は、先日、外国特派員協会で講演する機会がありましたが、外国メディアのみなさんから驚きの反応が返ってきたことがあります。それは、日本では株の売買や配当にかかる税金がたった税率10%だということです。こんな国はほかにありません。 フランスでは29%かかります。アメリカでも25%かかる。

 ところが、日本では、ぬれ手であわの大もうけをやった大株主にたった10%しか税金がかからない。額に汗して働くみなさんよりも、株で大もうけした大株主の税金が軽いというのは、あらためなければならないのではないでしょうか。

 日本の株価が他の先進各国と比べても落ち込みが激しかったのは事実だ。それは輸出主導型の経済構造であることや、世界からみた場合、日本の企業に出資した場合に得られるみかえりが他の国に比べると魅力がないからだ。

 そう考えると、現状を変えない限りは、税制で優遇するのは仕方ないことかと思える。しかし、将来を見据えれば、税制優遇なしで日本の市場に投資してもらえるように構造改革しなければいけない。


 そして、大企業についても、日本は、企業が払う社会保険料と税金を足しますとヨーロッパに比べて負担の軽い国です。自動車産業でいいますと、ドイツの八割、フランスの七割しか、大企業は税・社会保障の負担をしておりません。ここは、世間並みの負担をしてもらおうではありませんか。

 軍事費を削り、米軍への「思いやり」予算をなくし、政党助成金もなくす。そして大企業や大資産家にはもうけ相応の負担を求める。これをしっかりやれば、消費税に頼らなくても安心できる社会保障を築くことはできます。

 どうかみなさん、安心して消費税増税反対の声をあげようではありませんか。今度の総選挙では増税勢力にきびしい審判をくだそうではありませんか。

 企業が払う社会保障費を含む税負担が多ければいいのだろうか。例えば米国のGMは元社員の年金の支払いが利益を圧迫して、倒産寸前だ。人件費などの固定費の比率が多ければ多いほど、経営の柔軟な裁量の余地の幅を狭くし、経営改善のおもしになる。 だから、あくまで税は企業が負担できる範囲内でなくてはならない。

 今のところ、企業の税負担については国によってさまざまなために、各国政府が割引き合戦をしている。しかし、企業のもうけに占める労働分配率が低下傾向にある限り、合計として納税者からの税収も減って財政は健全でなくなる。ILO(国際労働機関)の労働者の待遇に関する勧告を各国が遵守する国際的な枠組みを作って、労働者が納税できるようにじゅうぶんな賃金を各国の企業が払わせることが重要だ。



 ・・・

 志井委員長の演説の内容の感想をまとめた感じでは、消費税増税が社会的弱者に対して配慮なしに実行される点については危惧を感じ得ない。ただ、だからといってやみくもに大企業に増税すれば、民間の活力をそぐ恐れがある。

 防衛費を削り、消費税増税分の財源を確保するのは理想的だ。しかし、そのためには米国に渡している軍事費の削減交渉を粘り強く行う必要があるし、中ロの軍事大国とも安全保障上の協調体制を模索していく必要があるから、かなり時間がかかりそうな印象だ。

 正規・非正規の労働者間での賃金の不公平性や生活に不十分な賃金でも合法とし、社会保障制度のなかで不十分な賃金を補完できないといった構造的な問題が放置されている限りは、ただむやみに消費税を上げても根本的な解決にならないのではないか。

 つまりは、所得税や消費税といった間接税、国民健康保険税や介護保険税、国民年金保険税といった社会保障税を別個にパッチ的に充てるのでなく、それぞれの税負担者の生活の実情にあった納税の抜本的改革が必要だと考えるのである。








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消費税は"国が貧困ビジネス"をしているようなもの、福祉目的でなく法人税の穴埋めに使われ、社会的弱者に対して重い税

 これまで、日経紙上に掲載された経済教室の内容に沿いながら、現在の景気対策の根拠となる理論や、二人の学者による現在の不況下におけるとるべき財政政策をとりあげてきた。

 谷内教授は、2009年度補正予算の追加経済対策に盛り込まれた中身と同様に、『90年代の経済対策の重点項目には、「環境に負荷のない経済社会の実現」 「二十一世紀先導プロジェクトの実施」 「緊急防災」 「介護対策」など役に立ちそうな支出分野が並んでいたが、90年代の景気対策で、政府支出はGDP比7%以上も拡大したが、効果はなく経済は長期低迷した』とし、さらには景気刺激のため大型の補正予算では本予算では予算化されないようなムダな支出が避けられないとして、追加経済対策の景気刺激効果に疑問を呈した。

 井堀教授も、『財政政策の規模と中身が問われる中、当面は景気対策を優先し、財政健全化を中期的課題と位置づけるのは常識的対応である』と、一定の理解を示したうえで、『90年代後半の経験が示唆するように、積極的な財政政策が景気を回復させる効果は限定的である』との見方は同様だった。

 それでは、有効な景気対策はなにか?

 谷内教授は
『日本の法人所得課税は先進国でいちばん高い。法人税率を引き下げ、民間企業の活力を高めることが重要』といい、井堀教授はニューケインジアンの理論に基づく潜在的GDPを上げる構造改革を行いながら、『中長期の視点で民間の投資、貯蓄、労働意欲を刺激する政策が重要であり、景気動向にかかわらず、民間経済のやる気を引き出す規制改革や法人税率の引き下げなどの税制改革を直実に、かつ大胆に実行すべきである』と述べている。構造改革に関して、谷内教授は長期的に成長を高めるための政策として『農業活性化ための改革、特に民間企業の農地所有を認めるなどの大胆な改革』は有用としている。

 また、井堀教授は『景気対策は目的を明確にする必要がある』とし、『景気悪化で影響を受ける人を支援する景気政策は、弱者の経済状態を改善するのが目的であり、一種の社会保障政策である。
 災害にあった人を支援するのと同様に、弱者の生活を支援する景気対策は、国内総生産(GDP)拡大は期待できないが、急激な景気悪化時には重要な意義がある』とし、谷内教授は月内に成立する見込みで、さらなる措置も検討されている「雇用保険法改正案」やさらなる措置の検討をあげ、『非正規雇用に焦点を当てた雇用の安金網整備が最も重要である』と指摘している。

 二人の教授の指摘に共通するのは、以下の点である。
①法人税減税によって民間企業の活力を高める
②中長期的視野にたった構造改革
③弱者や非正規雇用者に対する安全網(セーフティーネット)の整備

 更に、井堀教授は
『国と地方も無駄な歳出を削減するのは当然だ』としながら、『だが無駄な歳出の削減と景気回復による自然増収だけで財政危機が解消するほど、状況は甘くない』と指摘し、『不足する財源は税収増でまかなうしかない。消費税率を段階的に引き上げるのは、財政再建に寄与する』と述べ、『弱者にも企業減税のメリットが生じるように配慮』しながら消費税を増税し、財政再建を図るべきだとしている。

 ・・・

おかねもうけてもぜいきんはらてくれないの

 法人税が高すぎるとゆう指摘には否定的見解もある。

 しんぶん赤旗日曜版(4/5号)6面では、「98年以降の大企業・大資産家への減税」とゆう見出しのグラフを紹介、98年度以降大幅に法人税を含む企業減税、証券優遇減税、高額所得者の税減税が行われていることを指摘している。

おかねがないとつらいの

 また、消費税に関しては、一律5%であっても低所得になるにつれて収入に対して負担が大きくなることを指摘し、とりわけ214万円以下の収入の消費者では4.2%以上にのぼり、336万円の収入の消費者の3.3%を大きく上回っていることを示し、低所得者への配慮なしの消費税増税は低所得者の暮らしをさらに圧迫することを物語っている。1646万円以上の収入がある消費者は1.6%の負担割合しかないことを考えると支払い能力に応じた税負担の観点からいえば、消費税は適当でないことは明らかである。


なんでこうなるの!

 さらに、弱者や非正規雇用者に対する安全網(セーフティーネット)の整備の観点から、消費税が導入されてから「社会保障のため」に創設されてから今年の4月1日に20年たったことについて、医療、年金、介護の点に関して、それぞれの点で大きく消費者の負担が増えていることを指摘している(しんぶん赤旗日曜版(4/5号)

おかねかえして

そして、消費税導入(1989)から昨年度(2009)までに消費税の税収の総額213兆円にのぼるのに対し、法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の減収が182兆円にのぼり、消費税が福祉目的のためでなく、法人税収減収の穴埋めのために使われてきたと指摘する。

 先日、与謝野財政・金融担当相も、15.4兆円にのぼる2009年度補正予算の執行にあたっては、10兆円の赤字国債発行とともに、消費税の活用にも言及した。

そのたのぜいってなんだろ

 また、消費税率が10%台後半から25%台と高い欧米(除く米国)と比較しても、付加価値税(消費税)の社会保障財源に占める割合は六ヵ国との比較においては中位であり、むしろ事業主保険料の割合がが極端に低く、本人保険料の割合が極端に高いことが伺える。

 このことから、『貧しい人たちをくいものにしているということでいえば、消費税は国が"国が貧困ビジネス"をしているようなもの』松本ヒロ氏(同紙7面)、『消費税は所得が低い人ほど負担が重い「福祉破壊税」です。消費税を価格に転嫁できない中小・零細企業にとっては「営業破壊税』しんぶん赤旗(3/31)1面、と厳しく共産党は指摘する。

 共産党の主張によれば、法人税は米国や新興国を除けば優遇されているのであり、社会福祉目的税としては消費税は欧米各国に比べても決して低くなく、社会的弱者に対して重い税になっているとゆう。

 構造的改革が必要とゆう点を除けば、前述の教授と共産党の見解は全く相反する。








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短期的景気対策は弱者支援明確に、長期的成長を高める政策を、法人税減らし民間企業活力高めよ、基礎的財政収支均衡化先送りでも消費税増税盛り込み中期的財政再建プログラムを「『弱者支援の目的を明確に』財政政策を問う(上)井堀和宏」

 現在、世界的な景気対策を裏付けている「ニューケインジアン」の金融政策は、実際のGDPの潜在GDPからの乖離(かいり)率に着目し、それに伴うインフレ率との関係を調整する金融政策を主として行ってきた(参照http://uhtwogh2.blog65.fc2.com/blog-entry-136.html)。

 しかし、世界的な低金利政策のなかで、金融政策によってインフレ率を調整する余地はとぼしい。
 そうしたなか、政府は2008年度補正予算や2009年度一般会計、更には2009年度補正予算によって、大型の財政出動を行って景気回復を図ろうとしている。

 しかし、米国のエコノミストの中には、米国の行っている財政出動の効果に懐疑的な見方をするものも多い。谷内満・早稲田大学教授は、大恐慌での米国のニューディール政策でも実際の政府支出はGDPの2-3%にすぎないとし、1990年代の日本では政府支出GDP比7%でも経済は長期低迷していたことし、今回の景気刺激策が1990年代の景気刺激策の内容がさほど変わらないとしたうえで、財政出動の効果の根拠に疑問を呈している。

 また、役に立つ支出なら景気刺激効果があり、ムダな支出なら景気刺激効果がないとゆう理論的根拠は、ケインズ経済学の理論には基づいてなく、実証分析が必要で効果が不明とゆう。

 さらに谷内教授は、景気刺激のため大型の補正予算では本予算では予算化されないようなムダな支出が避けられないともゆう。

 そして、谷内教授は、非正規雇用に焦点を当てた雇用の安金網整備が最も重要であり、長期的に成長を高めるための政策として、民間企業の農地所有を認めるなどの大胆な改革や、先進国でいちばん高い法人税率を引き下げ、民間企業の活力を高めることが重要と説いた。(参照:http://uhtwogh2.blog65.fc2.com/blog-entry-140.html)


 ・・・

 井堀和宏・東大教授は、「『弱者支援の目的を明確に』財政政策を問う(上)経済教室」日本経済新聞(3/25)27面で、 

 財政政策の規模と中身が問われる中、当面は景気対策を優先し、財政健全化を中期的課題と位置づけるのは、常識的対応である、

とし、政府の景気対策優先に理解を示している。

 その根拠として、グローバルな景気後退のなかで輸出依存度の高さが裏目に出て深刻度を増していることをあげている。


 米国発の金融危機を発端としたグローバルな景気後退の日本経済への影響は当初は小さかったが、ここにきて輸出依存度の高さが裏目に出て深刻度を増している。今後適切な景気対策を実行する必要があるし、財政政策面での国際協調も重要だ。

 だが、国内総生産(GDP)拡大は期待できないが、急激な景気悪化時には重要な意義があるので、景気対策の目的を弱者の経済状態を改善する社会保障政策にすべきとゆう。

 ただ景気対策は目的を明確にする必要がある。景気悪化で影響を受ける人を支援する景気政策は、弱者の経済状態を改善するのが目的であり、一種の社会保障政策である。
 災害にあった人を支援するのと同様に、弱者の生活を支援する景気対策は、国内総生産(GDP)拡大は期待できないが、急激な景気悪化時には重要な意義がある。

 例えば、生活保護世帯((約百万世帯)に十万円程度を給付しても、総額一千億円程度の景気対策で済むと指摘する。

 それゆえこうした社会保障的政策は、対象を弱者に限定すべきである。例えば、生活保護世帯(約百万世帯)に十万円程度を給付すると、総額一千億円程度で済む。対象を限定すれば一人あたりの支援額は大きくなり、厳しい財政事情の下でも遂行できる。さらにこうした支援策は緊急避難的な政策で、ずっと続けるべきではない。本来、弱者支援は生活保護など社会保障制度の中で対応すべき課題だ。

 しんぶん赤旗の指摘では、生活保護基準以下の世帯は生活保護世帯の5倍程度いるとゆうから、このような趣旨の景気対策は5千億円程度となると思う。

 また、中期的にみて日本の経済成長率が三%程度の安定成長を維持を考えると、将来世代の弱者の方が支援すべき対象としての優先度は高いとゆう。

  一方、中長期的に見ると、どの時期、どの世代がより厳しい経済環境に直面しそうかという判断が重要である。高齢世代が急増する半面、勤労
人口が減少して貯蓄も底をつき、技術革新の余地が乏しいわが国の将来を展望すると、今回の経済危機が克服されたとしても、中期的に日本の経済成長率が三%程度の安定成長を維持できる保証はない。

 高齢化社会で高齢者の医療・年金を支える勤労世代の負担増が予想されるが、グローバル化の圧力で賃金所得の増加が期待できないその先の将来世代の方がもっと深刻である。今回の危機に直面している現在世代より、むしろ将来世代の弱者の方が支援すべき対象としての優先度は高い。

 更に、1990年代後半の経験が示唆するように、積極的な財政政策が景気を回復させる効果は限定的であるとし、恒久的な減税が必要としながらも、社会保障需要の急増が中長期的に見込まれる以上、恒久減税ができる財政状況ではないといい、90年代の地域振興券の消費拡大効果は極めて小さく、今回の定額給付金も一時的給付であり、消費刺激効果はほとんどないとゆう。

 ちなみに日経の調べでは、地域振興券や定額給付金が消費に回るのは給付額の3分の1程度のようだ。


  不況期に、GDPを増加させる景気対策は重要な選択肢であるが、一九九〇年代後半の経験が示唆するように、積極的な財政政策が景気を回復させる効果は限定的である。 まず減税政策であるが、恒久的に減税してはじめて、可処分所得が恒常的に増え、消費も増加する。だが残念ながら、社会保障需要の急増が中長期的に見込まれる以上、恒久減税ができる財政状況ではない。九〇年代の地域振興券は消費拡大効果が極めて小さかった。今回の定額給付金も一時的給付であり、消費刺激効果はほとんどないだろう。

 公共投資に関して、内容さえ適切であればGDPの拡大は期待できるといい、そのためには既存の配分内容を変え、耐震対策、環境改善や医療分野での新技術開発など緊急性が高く、必要性も高い分野に積極配分すべきで、過疎地域の振興対策のような波及効果の乏しい公共投資では効果がなく、無駄な社会資本の維持管理費用が将来への重荷になるとゆう。

 次に公共投資は、内容さえ適切であれば、GDPの拡大は期待できる。耐震対策、環境改善や医療分野での新技術開発など緊急性が高く、必要性も高い分野に積極配分すべきであろう。ただし既存の配分内容が変わらないと、公共投資を量的に拡大しても効果は小さい。過疎地域の振興対策のような波及効果の乏しい公共投資では、乗数効果は一のままである。実際、九〇年代の公共投資によるGDP拡大効果は、学問的な実証分析では確認されていない。むしろ無駄な社会資本の維持管理費用が将来への重荷となる。

 さらに九〇年代と異なり、日本の財政状況は大きく悪化した。この点でも、積極財政政策のメリットは少ないどころかデメリットが大きい。

 そして、ニューケインジアンが唱えるGDPの潜在成長率を上げる構造改革が必要であり、民間経済のやる気を引き出す規制改革や法人税率の引き下げなどの税制改革を直実に、かつ大胆に実行すべきであるとしている。

 景気対策以上に必要な政策は、GDP成長率のトレンドを上昇させる政策、すなわち潜在成長率を上げる構造改革である。中長期の視点で民間の投資、貯蓄、労働意欲を刺激する政策が重要であり、景気動向にかかわらず、民間経済のやる気を引き出す規制改革や法人税率の引き下げなどの税制改革を直実に、かつ大胆に実行すべきである。

つかれた

 そして、直近の経済危機に対応すべく裁量的な財政運営が必要だとしながら、中長期には財政再建のための歳出削減と増税が不可避であり、内閣府の最近試算した「底ばい継続シナリオ」になる恐れが強く、自然体のままでは財政は破綻してしまうと警鐘を鳴らす。

 このように直近の経済危機に対応すべく裁量的な財政運営が必要だとしても、内閣府の最近試算した「底ばい継続シナリオ」になる恐れが強く、自然体のままでは財政は破綻してしまうので、危機的な財政状況をみれば中長期には財政再建のための歳出削減と増税が不可避であると説く。

 財政再建を図るためには、政府の借金を返す時期を遅らせても、政府が具体的シナリオを示すことで国民の不安が解消されるとし、市場にとって信頼性のある現実的な財政再建策なら、11年度の基礎的財政収支均衡化という政府目標が先送りされても、財政運営を維持可能な状況に引き戻すことは十分に可能とゆう。

 それには、歳出削減と増税の中期的プログラムを国民に納得させることが必要としたうえで、国と地方も無駄な歳出を削減するべきで、社会保障でのまだ非効率、不公平な歳出や、若者の不信感を助長している年金制度や地方自治体にモラルハザードを生む地方交付税制度の抜本改革が必要と説く。

 そのためには歳出削減と増税の中期的プログラムを国民が納得する必要がある。今回税制改正の付則で、一一年度以降に消費税率引き上げを準備することが明記されたが、政府がその時期をなかなか明言しないのは、国民に増税への根強い抵抗があるからだろう。税負担が重すぎて増税に応じきれないというより、まず歳出の無駄をなくす方が先決だという考え方である。このため、増税を伴う税制改革は優先順位が低くなる。

 国と地方も無駄な歳出を削減するのは当然だ。社会保障ではまだ非効率、不公平な歳出が多い。若者の不信感を助長している年金制度や、地方自治体にモラルハザードを生む地方交付税制度の抜本改革は、将来の財政運営に対する信頼感向上にも寄与する。

 そして、財政危機を解消させるために消費税率を段階的に引き上げるべきだといい、段階引き上げで、駆け込みの消費需要もが刺激されると説く。

 さらに、消費税増税の一部で法人税を引き下げ企業をしっかりさせる必要があるとゆう。企業が生産活動に従事することで雇用機会が確保できるし、企業価値があがれば、経営者や投資家が多くの配当や利子収入を得られるとゆうもの。


 だが無駄な歳出の削減と景気回復による自然増収だけで財政危機が解消するほど、状況は甘くない。なお不足する財源は税収増でまかなうしかない。消費税率を段階的に引き上げるのは、財政再建に寄与するだけでなく、当面の景気対策としてもそれほど悪いものではない。段階引き上げで、駆け込みの消費需要が刺激されるからだ。

 英国で景気対策として、付加価値税が○八年十二月一日より暫定的に一七・五%から一五%に引き下げられたが、当面の消費刺激効果は大きくなかった。むしろ、一年後に税率が元の税率に戻る直前に消費は上向くだろう。消費税率の引き下げよりも、引き上げ前の駆け込み需要の方が消費刺激効果は大きい。段階的引き上げでデフレ心理に歯止めがかかれば、マクロ経済にブフスの効果が期待できる。

 さらに消費増税の一部で法人税率引き下げもできよう。生産活動の主体である企業がしっかりして、初めて家計の経済状態も良くなる。企業が生産活動に従事することて、被雇用者は雇用機会を確保できる。株主などの投資家や利子所得に期待する預金者も、企業が元気になれば企業価値が上がり、多くの配当や利子収入を得られる。企業減税の恩恵は経営者や投資家など直接の利害関係者だけでなく、周辺の家計も含めた広い意昧での家計部門に波及する。

 ただし、消費税の増税の結果、社会的弱者ほど税負担増になるので、弱者への再分配に財源を回し、弱者にも企業減税のメリットが生じるように配慮することも重要であると説く。

 もちろん、消費税の増税が行われれば、個々の家計にとって税負担増になるケースもある。社会的弱者ほどその可能性は高い。公平性の観点から、弱者にも企業減税のメリットが生じるように配慮することも重要である。経済が活性化して日本経済全体が改善すれば、弱者への再分配に回せる財源も多くなる。

 そして、あくまで中期的に政府の歳出をより効率化、公平化するとともに、消費税の増税などとセットで財政健全化を行うべきと結ぶ。

 景気の後退が本格化するなかで、財政健全化を推進するマクロ経済環境は厳しい。しかし、中長期的に見ると、現在よりも将来の方がよりマクロ経済環境は厳しくなっていく。財政健全化が将来世代にとってメリットが大きいことを、我々現在世代は冷静に認識する必要がある。マクロ経済動向に配慮しつつ、中期的に政府全体の守備範囲を見直し、歳出をより効率化、公平化するとともに、消費税の増税などとセットで財政健全化を行うべきだろう。

 井堀教授は、谷内教授と同じように、政府のムダな支出を減らし、長期的に成長を高めるための政策に支出を多くあて、法人税を減らし、民間企業の活力を高めることが重要といい、特に企業活動の向上があればこそ、雇用、株主配当、利子収入が確保できると説いている。

 そして、谷内教授が非正規雇用に焦点を当てた雇用の安金網整備が最も重要であると述べたのに対し、井堀教授は弱者の生活を支援する景気対策が重要であると述べている。

 更には中期的な財政再建のために消費税を増税したり、11年度の基礎的財政収支均衡化という政府目標の先送りを盛り込んだプログラムを国民に納得させることが必要だと説明している。


 いほり・としひろ 52年生まれ。東大卒ソョンズ・ホプキンス大博士。専門は財政論








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直接的公共事業投資よりセーフティーネット拡充や民間の活力を引き出す政策が景気対策に重要「『効果に過大な期待抱くな』財政政策を問う(下)/谷内満・早稲田大学教授」

 4月10日、急激に悪化する景気を下支えするため、政府は追加経済対策を発表した。財政支出は15.4兆円、関連する事業規模総額は56.8兆円にのぼる。

 4月1日、ロンドンで行われたG20首脳会合(金融サミット)では、10年度末までに世界GDPを2%(5兆㌦)回復する合意がなされたが、今回の日本の財政支出はそれを越え、GDP比3%に迫るものになる。

 追加経済対策の中身は、企業に対して、金融機関や企業の資金繰り対策、株価急落の際の金融機関の株価買取の際の政府保証、インフラ整備など公共事業の前倒し執行とそれに伴う地方向け臨時交付金の支給、農地を貸し出す農家への交付金、法人向け研究開発費減税、中小企業向け交際費減税。

 失業者対策として、雇用者に対する雇用調整助成金の増額、失業者に住宅手当を給付、低所得者向けの生活費の貸付制度の拡充、公共職業安定所の職員増員。

 消費活性化対策として、環境対応車や省エネ家電への補助金、地デジ対応テレビの買い替え促進の補助金、住宅購入や修繕者への年間の贈与税免税額の引き上げや頭金なしの住宅ローンの実現。

 福祉対策としては、3歳から就学前の子どもに給付金の支給、介護職員の処遇を改善する事業者に3年間助成。

となっており、企業や農家を手厚保護して従業員の解雇を減らし、電化製品や車などを買える余力のある中間所得層を補助するが、低所得者には、失業者の住宅手当は半年給付するものの、生活費は給付ではなく貸し付けのみとゆうお寒い内容になっている。


 ・・・

こうかはあるのかな

 米国や日本のこうした財政出動を伴う景気対策に関しては、効果に疑問を持つ政治家やエコノミストが少なくない。

 「『効果に過大な期待抱くな』財政政策を問う(下)/谷内満・早稲田大学教授」日本経済新聞(3/27)27面によると、

 米国では約79百億㌦(約75兆円)の大型景気対策法が可決され、大規模な財政出動が始まった。だが米国内では、今回の財政刺激策の効果に懐疑的な見方がかなりある。議会両院で多数派を占める民主党の賛成で法案は成立したが、上院で賛成票を投じた共和党議員はわずか三人で残りは全員反対し、下院では共和党議員全員が反対した。共和党の主張は、大きな政府をつくることは景気回復には役立たず、単に将来世代に負担を押しつける「世代間の窃盗」(マケイン議員)にすぎないというものである。

 実務家のエコノミストらに聞いた調査では、「効果はゼロかほとんどない」と答えた人が約30%いた(図参照)。

 オバマ政権で経済政策の司令塔を務めるサマーズ国家経済会議委員長は、有力な学者でもある。昨年のノーベル賞受賞者クルーグマン米プリンストン大学教授は、新聞のコラムやテレビの討論会に頻繁に登場し、積極財政の必要性を説いている。やはりノーベル賞受賞者のステグリッツ米コロンビア大学教授やアロー米スタンフォード大学名誉教授も財政刺激に賛成している。
 また、かつて財政刺激策の効果を否定する論文を書いたフェルドシュタイン米ハーバード大学教授は、今回は財政出動が必要だとしている。

 他方、効果を懐疑的にみる学者も多い。バロー米ハーバード大学教授、ルーカス米シカゴ大学教授、サージェント米ニューヨーク大学教授、ブキャナン米ジョージメーソン大学教授、ベッカー米シカゴ大学教授、プレスコット米アリゾナ州立大学教授、マンキュー米ハーバード大学教授、テーラー米スタンフォード大学教授といった著名な学者が含まれる(このうちノーベル賞受賞者は四人)。

 バロー、ルーカス教授らは、ケインズ経済学を否定して均衡アプローチのマクロ経済学を研究しており、財政刺激策は理論的にも実証的にも効果がないと考えている。ケインズ経済学の立場をとるマンキュー、テーラー教授らは、理論的には効果はあるが、実証的にはその効果はかなり限定的だと考えており、大規模に財政支出を拡大すれば、ムダな支出が行われると危惧している。

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 大恐慌での米国のニューディール政策でも実際の政府支出はGDPの2-3%、1990年代の日本では政府支出GDP比7%でも経済は長期低迷

 財政出動積極派は、(低金利政策で)金融政策面で一段の緩和余地はなくなってきており、財政政策が頼みの網になっている。減税をしても、消費心理が萎縮する現状では消費は増えないと考えられ、政府支出の大幅拡大への期待が高い。

 しかし、今回のような深刻な金融危機が起きた場合、金融システム崩壊を防ぐため、金融機関への大胆な政府介入が必要である。だが残念ながらいったん不況になると、経済を短期的に浮揚させようとしても政府にできることは限られる。

 戦前の大恐慌では、ニューディール政策の積極財政が有効だったという考え方が浸透している。だが現実には、当時の財政出動の規模は小さく、政府支出の増加は国内総生産(GDP)比2-3%程度にすぎなかった。

 また早稲田大学の若田部昌澄教授によれば、英国はほとんど財政出動なしに大恐慌を脱出した。(本欄昨年11月3日)。他方、日本では1990年代の累次の景気対策で、政府支出はGDP比7%以上も拡大したが、効果はなく、経済は長期低迷した。

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 さらに谷内満氏は、今回の景気刺激策が1990年代の景気刺激策の内容がさほど変わらないとしたうえで、財政出動の効果の根拠に疑問を呈している。

 日本では、90年代の政府支出拡大が景気回復に効果がなかったのは、ムダな投資をしたからで、今回は省エネ、環境、技術開発、校舎の耐震化、保育・介護など、役に立つ賢明な支出を行えば、景気回復に効果があるとする議論が多い。しかし、この考え方には二つの点で問題がある。

 第一に、今回は役に立つものだけに支出できると考える根拠が不明である。90年代の経済対策の重点項目には、「環境に負荷のない経済社会の実現」 「二十一世紀先導プロジェクトの実施」 「緊急防災」 「介護対策」など役に立ちそうな支出分野が並んでいた。今回は90年代と違うと信じる理由はなんだろうか。

 また景気刺激のため大型の補正予算では本予算では予算化されないようなムダな支出が避けられないとゆう。

 政府がこれらの分野に支出して社会の発展基盤を提供することは、政府の重要な役割である。だがそれらの支出は費用・効果を慎重に考慮
しなければならない。問題は、景気刺激のため大型の補正予算を組むとなると、本予算では予算化されないようなムダな支出が避けられないことだ。

 更に、役に立つ支出なら景気刺激効果があり、ムダな支出なら景気刺激効果がないとゆう理論的根拠は、ケインズ経済学の理論には基づいてなく、実証分析が必要で効果が不明だとゆう。

 第二の問題点は、ムダな支出は景気刺激効果がなく、役に立つ支出なら景気刺激効果があると考える理論的根拠である。政府支出増加が経済全体の生産水準を高めるという考え方は、ケインズ経済学の理論に基づいている。

 ケインズ経済学では価格(ないし賃金)は短期的に硬直的だと仮定され、需要と供給が一致するところで生産水準が決まらず、需要が生産水準を決定すると考えられている。つまり、需要が増加すれば生産が増加する。したがって、政府支出という需要を拡大させれば、生産が高まり景気が回復することになる。

 この理論的枠組みでは、政府支出がムダかどうかにかかわりなく、一兆円の政府支出増加は一兆円の需要増加となる。政府支出拡大が景気刺激にどの程度効果があるかは実証分析が必要だが、はっきりした決着はついていない。

 更に、ケインズ理論もさまざまなものがあり、景気刺激効果を表す乗数もさまざまで、金融政策を主眼に置き、財政出動を脇役と考える「ニューケインジアン」の理論では、乗数は6分の1程度にすぎないとゆう。時系列分析(VARモデル)での結果は「公共投資拡大の効果はないか、あったとしても非常に小さい」と説明する。

 一兆円の政府支出増加で、もしGDPが一・五兆円増えれば、乗数は一・五だという。マクロ計量モデルを使った分析では、乗数はゼロより大きく、政府支出拡大は景気刺激効果があるという結果が得られる。しかしマクロ計量モデルは、ケインズ理論をもとに構築されており、この結果はいわば当然である。また、どんなタイプのケインズ理論を基にしたモデルかで、乗数の大きさは異なってくる。

 オバマ政権が根拠とする乗数は、ローマー米大統領経済諮問委員会委員長らが推計したむので、1・6とかなり高い。だがテーラー教授らは最
近の論文で、この乗数は旧来型のケインズ理論のモデルに基づくむので、新ケインズ理論のモデルで推計した乗数はその6分の1程度にすぎず、かつ1年目にはほとんど効果が出ないと分析している。

 特定の理論を前提にしない実証分析の手法としては、時系列分析(VARモデル)がある。筆者が90年代半ばに行った時系列分析の結果は、
 「公共投資拡大の効果はないか、あったとしても非常に小さい」というものであった。

 新しいデータを使った分析によると、日本では「財政政策変数とGDPやインフレといった経済変数が、過去二十年間、システマティックな関係を示していなかった」(加藤涼『財政政策の乗数の日米比較』二〇〇三年六月の日銀ワーキングペーパー。

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 谷内満氏は、非正規雇用に焦点を当てた雇用の安金網整備が最も重要であり、長期的に成長を高めるための政策として、民間企業の農地所有を認めるなどの大胆な改革や、先進国でいちばん高い法人税率を引き下げ、民間企業の活力を高めることが重要と説く。

 財政出動に効果があまりないとしたら、政府は何をすべきなのか。まず、非正規雇用に焦点を当てた雇用の安金網整備が最も重要である。既に取り組みが始まっており、雇用保論法改正案は月内に成立する見込みで、さらなる措置も検討されている。ただ注意すべきは、欧州諸国に比べて雇用の安金網が十分でないという議論がよくなされるが、好況期でも失業率10%前後の欧州諸国をあこがれの理想郷にしないことだ。

 必要なのは長期的に成長を高めるための政策である。今回の不況で農業が脚光を浴びたのは良いことだ。農業活性化ための改革、特に民間企業の農地所有を認めるなどの大胆な改革が求められる。

 日本の法人所得課税は先進国でいちばん高い。法人税率を引き下げ、民間企業の活力を高めることが重要である。

 今回の不況で赤字転落の企業が多いので、法人税を減税しても意味がないと考える人がいるかもしれない。だが報道などで紹介されているように、この不況下でも利益をあげている元気な企業はある。

 また、企業業績が好不況にあまり左右されない業種も多いので、不況の今でも法人税減税は、経済活性化に役立つ。

 直接的な公共事業投資より、セーフティーネットを整え、民間の活力を引き出す政策に重きをおき、税負担を軽くしたり、活力を引き出すしくみづくりを行うことが景気対策に重要とゆうことだろう。

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たにうち・みつる 49年生まれ。東大法卒、ブラウン大博士元内閣府政策統括官。専門はマクロ経済学、国際金融









テーマ:追加経済対策で景気は回復する? - ジャンル:政治・経済

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