ウーツー(CDレビューア)

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重松清さんの「いいものあげる」を読んで、昔のぼくらの友達のよさを思い出してしまた

 ちっちゃいころ、いっしょに遊んでいた子のことを、「友達?」って尋ねられて、しばらく考え込んでから「別に友達じゃないけど...」って答えたことがある。

 「友達」っていうのは、何か特別大事な人だと思い込んでいた。

 ・・・

 重松清さんの短編集「再会」の「いいものあげる」の中で、そんな「友達」でない遊び仲間の美智子ちゃんと、すずちゃん、わたしが登場する。

 田舎街のデパートのお嬢さんの美智子ちゃんに、両親がそのデパートのテナントに入れてもらっているすずちゃんはいつもくっついている。

 美智子ちゃんが色のついた折り紙?を一枚、転校生のわたしにくれようとすると、「いらない」と断るわたしに、すずちゃんが「もらいなよ」と言って、仲良くするようにとりなしてくれる。

 それから、いつも何かをくれる美智子ちゃんと、腰ぎんちゃくのすずちゃん、なんとなく合わせているわたしの3人の関係が始まる。

 ・・・

 「わたし」のお父さんは、郊外型ショッピングモールを立ち上げるためにこの街に来た責任者だ。

 お父さんの事業がうまくいくに連れ、美智子ちゃんのお父さんのデパートがさびれていき、ついに閉店となり、美智子ちゃんが転向することになったとき、美智子ちゃんを取り巻いていた遊び仲間は、わたしだけになってしまう。

 美智子ちゃんに別れを言うわたしは、すずちゃんにも美智子ちゃんに別れを言ってもらいたいと願うようになる。

 別に友達でもなんでもないのに...

 最後に別れるときに、それまでなんとも思ってなかった仲間のことが、急に友達同士であってほしいっていう「わたし」の気持ちに、ぼくの心はゆさぶられてしまた。

再会再会
(2009/10/23)
重松 清

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シルバーウイークの二日目、2、3年前に知り合った人に再会し、近況とともに隣町のホームレスとか生活保護行政の様子が聞けた

 なんだか世間に取り残されたようで寂しく感じたシルバーウイーク二日目の日曜日、世間の行楽気分とは全く無縁で、いつものようにDVDレンタルショップによって、駅前のスーパーのベンチで、ひさしぶりにうさ晴らしで500mlの梅チューハイを飲みながら、朝に読み忘れた日経の朝刊を読んでいたら、根本さん(仮名)に声をかけられた。

 根本さんとは2、3年ほど前に別のスーパーのベンチで出会って、しばしば夕方から夜にかけて長い時間話をした。隣町に住む根本さんは、塗装工の期間社員をしていて、工場内に充満する有機溶剤のせいで、仕事外でも頭がぼんやりしていると不調を訴えながら我慢して働いていた。

 ぼくも、開発職から工場での有機溶剤を使用する工場で、三勤三休・12時間2交代の転籍前提の出向の勤務をしていて夜勤に順応できないうえ、アルコールが充満する中で、なかばもうろうとしながら働いたあげく、出社拒否症状が出て会社に行けなくなった経験があったので、根本さんには少なからず共感した。

 ぼくの場合は産業医が機械で使用する汚れた有機溶剤の液交換の際にガスマスクの着用を指示したが、根本さんの工場では、アルコール分を吸着しない簡単なマスクだったそうだ。ぼくは大企業の大きめの子会社で働いたので、しっかりとしたガスマスクを与えられていたが、根本さんが働く工場にはそういうものはなく、劣悪な職場にもかかわらず、しっかりとした労働者の労働環境が施されていなかった。

 ・・・

 根本さんは中学を卒業したものの、読み書きや計算といった基本的に生活にかかせない知識が不十分だった。ぼくと会ったとき、根本さんは厚生年金の受給ための申請用紙を受け取り、申請したかったが、申請用紙の漢字が読めなく、申請用紙にどう書いていいかわからなかった。有機溶剤で頭がはっきりしないせいか覚えも悪く、しばしば助言したことを手帳に書くよう言われた。

 根本さんにはお兄さんがいたが、困ったことにお兄さんが相談にのってくれるような人ではなく頼れなかったことだ。それで、ぼくはできる範囲で書き方などを助言した。根本さんは大喜びで、ぼくと何度も会ったが、年金の申請がうまく終わったようで、その後は姿をみなかった。

 ・・・

 それから、2、3年過ぎた日曜日、根本さんはこざっぱりした清潔な服装で明るく声をかけてきた。当時まだ同じ職場で働くと言っていた根本さんだが、今では退職してなんとか年金で暮らしていると言った。

 30%引きの110円の値札がついたいなりずしのパックを持ちながら、前と違って気楽に話す根本さんにぼくは聞いた。

 「ここまで来なくても、もっと大きいスーパーが近くにあるのでは?」

 そう聞くと、大きなスーパーはなんだかそうぞうしくて落ち着かないのでここまで来るという。パンやらカットサラダやらの見切り品が夕方にはすっかりなくなっていると言うと、根本さんは「惣菜品の見切り品も?」と、聞いてきた。

 それで、惣菜品の見切り品は今頃出るけど、すっかり安くなくなった、と答えた。根本さんもぼくも普段買うものはなるべく見切り品と決めている点では一致している。

 ・・・

 根本さんはこの街の公園はホームレスがいないからいいという。隣街では、ホームレスが昼真っから公園で酒を飲んでいて危険だという。

 酒を飲んでいるから少しは年金をもらっているのか、と聞くと低年金者にねだっては分けてもらっているそうだ。しかし、食べるものに困ると万引きをやらかすから、あまり近づきたくないという。
 
 「生活保護には入らないの?」と聞くと、隣町では、生活保護の担当者は以前にまじめに働かなかったひとは生保を受けられなかったり、運、不運もあるという。

 この街より家賃が安い市営住宅も充実していて、生保の基準も1等地でこの街より1ランク高く福祉がいいと評判の街でも役所は最悪の弱者には冷たい。でも公園にいれば、なにかしらのものをくれる人がいるだけ、ぼくの住んでいる街より暖かみがある気はする。

 ・・・

 「この値段の割引はどうやって計算するの?」

 また、例のごとく根本さんはぼくに聞いてきた。
 
 「110円の10%は11円だから3倍して33円だよ」、と言ったが根本さんはわからない。「手帳を取ってくるからここに書いてよ」と、いなりずしのパックに貼ってあるラベルを指差した。

 時計は夜の9時を指していた。さすがに、これより遅く母のところに晩飯に行くと怒ると思って、その日はそこで別れることにした。

 根本さんのように読み書きや簡単な計算ができない60代のひとは結構いる。まだ20年以上も生きることになりそうだし、初老の方のための無料の基礎教育講座をこの街でも考えてみた方がいいのではないだろか。









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